現代染色画家 イズオカヨシユキ
Contemporary Textile Painter Yoshiyuki Izuoka

~見えるものと見えないものの間~

ごあいさつ
先天性の色覚特性により美大進学を断念、しかし、絹布に染料が染まる独特の色彩には心が解き放たれたような高揚を感じ、以来「染色」は私のかけがえのない表現手段となりました。
「私に見えている世界は、他者と同じなのだろうか」 幼少期からのこの問いは、私の創作の根源にあります。転機となったのは2021年、日本が世界に誇る伝統芸能「能楽」との出会いでした。現実と虚構、生と死が交差する深遠な世界に触れたとき、私は自身の色覚特性を「欠落」ではなく、未知の領域へとつながる「あわい」であると受け入れることができたのです。それ以来、「見えるものと見えないものの間」をテーマに、作品を制作しています。
価値観が大きく揺らぐ現代において、作品を通じて、自分と他者、あるいは目に見えるものと見えないもの、此岸と彼岸など、隔絶されて見える二つの世界が実はすべてつながっていること、そしてそこに広がる無窮の可能性を感じていただければ幸いです。
※「あわい」とは、「媒介・あいだ」という意味
あわいの染色絵師 イズオカヨシユキ








「蝕」「朧」「群」「彩」「連」「夢幻」について
私は絵を描く際、独特な手法をとります。まず対象をしっかり凝視。タイミングを見計らい真っ白な布に目を移すと対象の残像が昔のネガフィルムのように色彩の反転を伴い浮かび上がります。その「刹那の残像」が消えぬうち慎重かつ素早く下描きの筆を走らせます。
こうして新しく生まれたのが6つの作品カテゴリー「蝕」「朧」「彩」「群」「連」「夢幻」です。
本来は白い花である月下美人を色彩の反転を利用して「月蝕」のごとく黒く染め抜いた「蝕(しょく)」。「蝕」の前後に残像を伴い表れる薄墨色の状態「朧(おぼろ)」。私の眼では捉えにくい赤や緑を大胆に染め抜いた「彩(さい)」。「蝕」や「彩」が連なった「連(れん)」。「蝕」や「彩」が咲き乱れる「群(ぐん)」。さらには多大なインスピレーションを得ている能楽とのコラボ「夢幻」まで、見えるものと見えないものの間~あわい~をテーマに作品を制作しています。




